最 近 の 医 療 情 報


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   ○大腸癌が増えています 


大腸癌で死んではいけません 

 大腸癌は欧米では従来から消化器癌で最も死亡率の高い癌です。我が国では現在でも胃癌が一番死亡率の高い癌ですが、食生活の欧米化に伴い、大腸癌が激増しています。胃癌の死亡数は年間約5万人に比べ、大腸癌は3万人に届く数になっていて、10〜20年後にはこれが逆転すると言われています。
 しかし有り難いことに、大腸癌の診断・治療は現段階でもほとんど完成していると言えます。大腸内視鏡検査により、5mm程度の早期癌の診断が可能で、しかも粘膜内にとどまるものは内視鏡で切除することで完全に治癒します。少し進んでいても腹腔鏡切除・外科切除で、全てを含めると70%以上が救命されます。
 しかし多くの死亡者がいるのは事実です。その最大の理由は検査を受けていないことです。胃の検査を受けている人はかなり多くなっていますが、大腸の検査はいまだに一度も受けたことがないと言う方がたくさんいます。確かに「恥ずかしい」、「面倒だ」という気持ちはよく分かります。しかし自分の命は自分で守らなければなりません。自分だけは大丈夫と逃避していてはいけません。手遅れになってから後悔しても遅いのです。勇気を持って、一度は大腸の検査を受けてみて下さい。

専門医の内視鏡検査を受けて下さい

 大腸の検査で最も優れているのは内視鏡検査です。検診などで行われている便の検査は、早期癌では半分以上、進行癌でも2割は見逃すといった検査です。受けないよりは良いのですが、これだけで十分というわけにはいきません。大腸X線検査も、腸どうしが重なる、便の残りが邪魔になるなどで、内視鏡で見つけられる癌の6〜7割程度しか発見できません。
 ただし「大腸の内視鏡検査はつらいものだ」との話があります。専門とは言えない未熟な医者の検査は確かにつらいはずです。しかしそれはただ下手なだけです。今、大腸の内視鏡検査は、素人と専門医の検査があまりにも開きのある検査となっています。経験豊富な専門医の検査は胃の内視鏡検査よりはるかに楽に受けられるはずです。現在、専門医と認められる医師の検査は、大腸の一番奥の盲腸に到達するまでの平均時間が5〜10分といったところでしょう。15分以上とか、30分もかかる検査は10年前ならいざ知らず、今ではとんでもない検査です。プロの検査は短時間で痛みが少なく、診断能の高い検査です。是非、専門医のもとで楽で正確な検査を受けて下さい。

 

  ○経鼻内視鏡検査 


鼻から入れるカメラとは

 胃内視鏡検査が苦しいことの理由の一つに咽頭反射があります。検査の間、ずっと「ゲーゲー」、「オエッ」っとなる喉の異物感です。挿入のとき引っかかるとか痛いというのは入れ方が悪いせいで、術者の技術でカバーできますが、この咽頭反射は滑らかにスコープを操作することでかなり軽減はできても、反射の強い方には相当つらいものです。
 従来からこのつらさを少しでも軽くするためにカメラを細くする努力が続けられてきました。現在、一般に使われているカメラの外径は9.0〜9.8mm(オリンパス社製)です。初期のころのカメラが12〜13mmというのに比べ格段の進歩ですが、いくら細くてもつらい人にはつらいのは事実です。
 そこでカメラを鼻から入れることで咽頭反射を少なくする方法が考案されました。細くて(外径5.2mm)柔らかいスコープを鼻から入れると、咽頭と平行に挿入され舌根・咽頭壁を刺激せず反射が少なくなるという原理です。
長所と短所
 ただし、それぞれに長所・短所があり、良く理解した上で使い分ける必要があります。
<長所>
@ 咽頭反射が少なく、「ゲーゲー」しないで楽に検査を受けられます。これは最大のメリットです。
A 楽な分だけ喉の麻酔が軽く済み、薬の副作用の心配が少なくなります。
B 苦しくない分、時間をかけてよく見ることが出来ます。反射が強く、ゲップを繰り返して観察がしづらい人の診断能は高くなると思われます。
C 検査中も術者と会話が可能で、モニター画面を見ながら病気や所見について話したりすることもできます。
<短所>
@ 鼻腔の狭い方は鼻の痛みが強く、挿入できない場合があります。外から見た鼻の大きさとは一致しませんので、初めての方はやってみて、無理せず、従来の方法に切り替えることになります。ただし術者の技術の差は大きく、当科の挿入不能は最近1,000例でわずか4例(0.4%)です。
A 通常のスコープに比べ先端の方向を上下2方向(通常は上下左右4方向)しか動かせないため、操作性が劣ります。見づらい場所ができたり、組織の検査のとき正確な場所から取りづらいなどの欠点があります。ただしこれも技術で、かなりカバーできますし、わずかに太い(外径5.5mm)ですが4方向可動のカメラも用意しています。
B 胃内を明るく照らすライトガイドという仕組みが1つ(通常スコープは2つ)のため画像が暗くなったり陰が出たりすることがあります。診断能が低くなる可能性があります。
C 上記ABの理由で、検査時間が普通より長い傾向になります(通常は5分前後ですが、経鼻だと8分くらい必要でしょうか)。
D 組織を取るための鉗子という道具の通る穴が小さいため(通常は2.8mmで経鼻スコープは2.0mm)、大きな組織片が取れません。病理判定の難しい病気のときは欠点になりますが、通常の診断には影響ないと思います。
当院の選択
 長所短所を考慮したうえで当院では次のような考え方で実施しています。
A. 少しつらくても、これまでの方法で大丈夫な方は従来どおりで良いと思います。
B. 全く初めて検査を受ける方は、最近は経鼻内視鏡検査を勧めています。
C. 胃カメラが怖くて受けられないでいた方は、一度、経鼻内視鏡検査を受けて下さい。恐怖心がなくなると思います。
D. 経口法の検査がひどくつらい方や静脈麻酔を使って検査していた方は、経鼻内視鏡検査を受けていただくと良いと思います。
E. 経口法がつらい方で鼻からの挿入が困難な方は静脈麻酔を使っての検査が良いでしょう。
 

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